VUCA(変動性・不確実性・複雑性・曖昧性)といわれる予測困難な時代に突入した。正解の見えない、これからの時代に必要なのは、暗記する力以上に考える力、やりぬく力、高度な基礎学力であり、それを身につけるには、子ども時代の学習法がポイントになる。

『ドラゴン桜』『宇宙兄弟』などの大ヒットマンガを世に送り出し、現在はクリエイターエージェンシー「コルク」を経営する編集者の佐渡島庸平氏と、『ドラゴン桜2』の制作に携わり、自身もオリジナルの勉強法で東大に合格した西岡壱誠氏に、これからの社会で活躍するために重要な子ども時代の学習法について語ってもらった。

『ドラゴン桜』とは?
弁護士・桜木建二が、平均偏差値36の学校の生徒を、1年で東大へ現役合格させるプロセスを追った漫画。2003~2007年に「モーニング」(講談社)で連載された。2018年~21年に続編の『ドラゴン桜2』が連載され、3月に完結した。2021年4月からTBS日曜劇場にて、原作ドラマ化。単行本の累計発行部数は800万部を超える


ⓒNorifusa Mita/Cork拡大画像表示

公文式とは?
きめ細やかなステップで構成されたプログラム教材を使い、指導者が子ども一人ひとりの力に合わせた「ちょうど」の学習を行う、個人別・自学自習方式の学習法。「やればできる」という自己肯定感を育み、学年を越えた未知の領域にも自ら挑戦する力を培うことができる、「可能性の追求」を目指す教育。

AI時代に必要なのは問題を発見する力

 VUCA、デジタル、サステナビリティ、コロナ禍……。時代を読み解くキーワードは数あるが、佐渡島氏と西岡氏の二人はこれからの時代をどう捉え、どんな能力が必要だと考えているのか。 

佐渡島庸平氏(公文式OB):1979年生まれ。中学時代は南アフリカ共和国で過ごす。灘高校から東京大学文学部に進学し、大学卒業後の2002年に講談社に入社。『バガボンド』(井上雄彦)、『ドラゴン桜』(三田紀房)などの編集を担当し、講談社退社後、株式会社コルクを設立

佐渡島:これからの時代は、ホワイトカラーの仕事がどんどんなくなっていく時代だと思う。かつてはブルーカラーの仕事が機械に奪われ、そして今度はホワイトカラーの仕事がAI(人工知能)やロボットに代替されていく。つまり、問題解決は機械が代わりにやってくれるけれど、解決するための問題は誰が選ぶのかというと、それは人間の仕事。じゃあ、解決すべき問題を発見したり、気づいたりするために必要な能力は何なのかというと、やっぱり「読み書きそろばん」だと思う。

西岡:スポーツに体力が必要なように、問題発見には高度な基礎的能力・学力が必要だというわけですね。