「自由でのびのびな校風」が共通項

 さて、「〇」の付いた学校、麻布、武蔵、芝、女子学院、吉祥女子、フェリス女学院と並べば、「自由で、のびのび」な校風の代表校ばかりである。

男子校「御三家」のひとつ、武蔵中学(東京都練馬区)

 最近は麻布でも武蔵でも以前のように放任ではなく、基本的な学習姿勢の定着には手をかけているが、それでも他校と比べると大学受験の面倒を見るという姿勢は薄い。女子学院もフェリス女学院も似たようなものである。また、難関校はどこもそうだが、生徒の自主性を尊重するという点でも共通している。

生徒の自主性を尊重することで有名な女子学院(東京都千代田区)

 ベスト10は偏差値的にも高い学校ばかりであるが、男女それぞれ1校ずつそれに当てはまらない学校が入っている。日本大学豊山、女子美術大学付属である。

 日大豊山は日本大学で起きた不祥事の影響で本番の出願者数こそ前年を割ったが、模試の段階ではどこよりも増加が著しかった。2021年度入試での中堅大学の付属校人気の象徴的な存在である。

 女子美は美術大学の付属であるから志望はごく限定され、とてもベスト10に登場するタイプではない。にもかかわらず9位に入っていることが、近年の学校選択の動向を象徴していると言っていいだろう。

「もちろん勉強はしっかりやってほしいが、同時に楽しくいろんなことにチャレンジできる6年間であってほしい」

 と話す保護者が増えている。特に閉塞状況に陥っているコロナ禍の今だからこそ、そうした思いが募っているようだ。「〇」の有無に関係なくベスト10の学校に共通する点でもある。