橋桁が崩落した祭畤大橋(2021年6月撮影、写真および作図は特記以外牧村あきこ)

 壊れたため、あるいは架け替えで使われなくなった「廃橋(はいきょう)」。そのはかないけれど美しさを持つ光景が語りかけてくるものに耳を傾けてみよう。

 前回紹介した大杭橋は、歴史的遺産として保存が決まった直後に水害で壊れたため、残念ながら撤去されることになってしまった。
激流で歴史的吊り橋が流された!修復?撤去?
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68063

 今回紹介するのは、地震という巨大な力により無残に折れ曲がった「祭畤(まつるべ)大橋」だ。その衝撃的な姿から、災害遺構として保存されることになったのだが、これも思いもよらない運命が待ち受けていた・・・。

 祭畤大橋は岩手県一関市の西端、秋田県横手市に向かう国道342号の県境近くにある。次の2つの写真で、橋が崩落する前と後を見比べてほしい。

崩落する1カ月前に撮影された祭畤大橋(一関市建設課提供)
崩落後の祭畤大橋(一関市建設課提供)

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 水平に渡されていた橋桁が、ほぼ垂直になってしまっている。それを横から見たのが、記事冒頭の写真なのだ。