壊れたため、あるいは架け替えで使われなくなった「廃橋(はいきょう)」。そのはかないけれど美しさを持つ光景が語りかけてくるものに耳を傾けてみよう。今回紹介する廃橋も豊かな歴史を持っているのだが、この橋は非常に無口で、その歴史を語ってくれるまでに少し時間がかかった。
あれはなんだろう??
阿賀川に架かる柴崎橋(福島県西会津町)を渡りながら上流方向の写真を撮っていると、視界の隅に何かが映り込んだ。次の写真の黄色の枠内に橋らしきものが見える。
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帰りの列車の時刻までそれほど余裕はない。が、もう少しだけ橋に近づいて、状態を確かめずにはいられなくなった。
上の地図の柴崎橋(上野尻ダム)から、阿賀川の右岸に沿う道を上流(地図の右下方向)に向かう。少しずつ謎の橋が近づいてくる。
最もよく見える場所で撮影したものが、本記事冒頭の写真である。鋼鉄製の橋は途中から橋桁が滑り台のように傾いている。しかも先端は向こう岸(左岸)に届いていない。
あまり近づきすぎると逆に常緑樹の木立に阻まれて橋の全景が見えなくなるが、ひとまず右岸側の橋のたもとまで行ってみた(地図A地点、紫のマーカー)。