「建設中止」か「計画通り建設」か――10年ぐらい前に大きな議論が巻き起こった群馬県の八ッ場(やんば)ダムが、その後どうなったかご存じだろうか。実はきのう(2020年3月31日)ついに完成し、きょう(4月1日)から本格運用が開始されたのだ。ただし新型コロナウイルス感染拡大の影響で完成式典などは延期され、ひっそりとしたスタートとなった。
ダム天端(てんば、ダムの最上部)への立ち入りや、多目的エレベータの一般見学者の利用も現状ではまだできない。
八ッ場ダムのこれまで道のりは平坦なものではなかった。建設予定地に吾妻峡(あがつまきょう)という景勝地や川原湯(かわらゆ)という著名温泉街を含むことから、地元住民の強い反対運動が起こった。1952年(昭和27年)の計画発表から半世紀以上たち、やっとダム本体の工事が始まろうかという2009年には、政権交代した民主党によって八ッ場ダム建設中止が発表されて大きな騒動となった。その2年後に中止が撤回されて工事が再開し、ようやく完成の日を迎えたのである。
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八ッ場ダムがあるのは、草津温泉への入口として知られる群馬県長野原町。西から東へ吾妻川が流れており、それに沿ってJR吾妻線と国道145号線がある。吾妻線と国道はダムができると水没してしまうので、ダム湖を迂回するよう、高台に移し替えられた。ダム湖のほぼ中央には川原湯の温泉街があったが、旅館や住宅も移転した。
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