ダムの貯水試験は、最高水位まで貯めたあと、今度は最低水位まで放水する。そうなった状態が次の写真だ。

その後水位を下げた状態(2020年1月16日撮影)
同じ場所からの上流方向。八ッ場大橋の橋脚がかなり長く見える

 このような貯水の試験が3月9日に終了して、再度貯水を始め、31日に完成。4月1日から本稼働ということになったのだ。

 八ッ場ダムは「多目的ダム」であり、目的は治水だけではなく、発電も含まれている。ただ、工事中にトラブルがあったようで、今回発電機能は間に合っていない。

 ダムによって失われたものを惜しむだけではなく、それを前向きに活用しようという動きもある。

東吾妻町にある吾妻線の廃線跡。ここを自転車型トロッコで走ることができるように計画中

 前述したように、八ッ場ダム建設に伴って吾妻線の一部が廃線となった。この廃線のある東吾妻町(ダムがある長野原町の下流側に隣接)は、この旧線路を活用した観光用の自転車型トロッコを運行させる計画を進行中だ。5月の連休ごろの運用を目指しているが、実際に開始されるかどうかは新型コロナウイルスの状況次第と言える。

 計画が発表されてから68年という長い年月を経て完成した八ッ場ダム。このダムの価値をいま問うことは難しい。その答えは今後長い時間を経た後に見つかるのだろう。