地球温暖化の影響とされる自然の猛威が世界中を襲い被害が頻発している。
巨大なハリケーンがフィリピンや米国東部を襲い、過去に類を見ない高潮による水害がニューヨークを中心に発生した。
また米国のカリフォルニア州やオーストラリアなど世界各地では大火災が発生し甚大な被害が出ている。
図1 米国東部を襲ったサンディ(2012年10月29日)
日本は世界有数の自然災害大国と言われ毎年のように巨大台風や集中豪雨による風水害、地震と津波、豪雪、火山の噴火などに見舞われている。
昨年だけでも北九州豪雨をはじめ、関東地域に大きな台風15号、19号が立て続けに襲来し、暴風雨による大停電や河川の氾濫によって甚大な被害が発生した。
特に昨年の台風19号(2019年10月12日)では短時間に集中豪雨が関東全域に降り、主要な多くの河川で氾濫が発生、住宅や各種施設が密集する市街地や鉄道などの重要なインフラが浸水の被害を受けた。
図2 台風19号による洪水
気象庁、国土交通省などから出されていた被害予想が(残念ではあるが)ほとんど的中し、各地・各所に大きなダメージを受ける結果となった。
ことに昨年は各地の堤防の決壊で河川が氾濫し、膨大な水量が短時間に市街地に流れ込んだため、多くの避難民が避難所に集中して飽和状態となり、多数の方々が逃げ場を失う事態に発展した。
この被害を食い止めるには堤防の嵩上げによって強化し、河川の氾濫をなくすことは分かり切った解決策ではあるが、現にそれを実行に移すのは容易ではない。
ことに住宅地近傍の堤防嵩上げは視界が制限されて居住環境を低下させるため住民の合意を取ることが困難を極めるだけでなく膨大な土砂の搬入や大規模な工事を必要とし、多額の費用も必要となる。