(廣末登・ノンフィクション作家)
前回の記事では、カオス化する裏社会を概観した。筆者が半グレの犯罪に警鐘を鳴らすのは、半グレは加入のハードルがとても低く、容易だからである。しかし、その判断は人生を崩壊させる危険を孕んでいる。
食うか食われるかの闇社会
筆者は、犯罪学の学究、ノンフィクション作家、更生保護の就労支援、保護司という様々な視点から、半グレと称される人たちの実態を見てきた。実際に、反社といわれる人たちから半グレを紹介され、街角で取材を敢行した。
そうした諸活動で得られた情報に基づき、今月、『だからヤクザを辞められない―裏社会メルトダウン』を新潮新書から上梓するに至った。
闇バイトや先輩後輩の繋がりから、半グレの一員として特殊詐欺などの犯罪に手を染めると、銀行口座が作れないなどの厳しい社会的制裁を受ける。そうした実態を知らずに犯罪を行い、人生を棒に振った人たちを、筆者は数多く目にしてきた。
拙著には、このような過ちをおかす若者が、一人でも減じて欲しいという願いが込められている。
ときどき誤解している若者もいるが、裏社会とは一攫千金を簡単に許す生易しい環境ではない。食うか食われるかのサバイバルである。今回は、そのカオス化した裏社会の住人である半グレ当事者の話に、耳を傾けてみたいと思う。
(前回記事)ヤクザ辞めても「元暴アウトロー」しか道がない現実
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63512