「食う半グレ」と「食われる半グレ」
◆半グレⅤ(30代半ば)の証言
単なる不良だったのは16歳の時までになりますね。「半グレ」と「ただの不良」との境界線ですか? カネの出どころですね。半グレは多くの場合、本職(ヤクザ)からになる。ただし、美味しい話はヤクザがシノいで、割に合わないリスキーな仕事するのが半グレ。つまり「残りっ屁」が半グレの仕事です。
あとは、ヤクザはケツ持ち(後ろ盾)を匂わせてくるけど、実際には持ってくれない。半グレ・グループにはランクがあって、ヤクザは半グレ第1グループにネタを持ってくる。第1グループは、下の第2グループに実行させて、カネを分ける。犯罪がメクれたら、第2グループはトカゲのシッポ切り。だから、食う半グレと食われる半グレがいるんです。
世の中から半グレと言われる人たちは、実は半グレだという認識がないんじゃないですかね、むしろヤクザの一端だと思ってる。自分の中で勘違いしているんです。自分は組員じゃないけど、バックにはヤクザがついていると思っている。だけど、実際には何もしてくれない。所詮、半グレなどは“爪楊枝”ですよ。「先が曲がったら捨てようか」という程度。
ヤクザの盃をしていたら、10万円の上納で組織から評価される。でも半グレは、50万円上納しても評価されない。ケツを持つと思うから組織の為に一生懸命働いても、結局のところ半グレは使い捨てです。せいぜい、「(正規の)アメックスカード作ってやるから」という程度。ここでも「だからナンボくれ」と言ってくる。金額は20万円くらいですかね。
半グレのリーダーも同様に、子分が下手打っても、何もしてくれません。
じゃ、なぜ自分は盃しなかったか――ひと言で言うと、(ヤクザに)向いていないから。グループが好きではないんです。人が集まると、必ず裏切りがある。自分が一人親方でやっていたら、やりかぶっても自己責任です。
シノギのネタ(情報)は、基本、ヤクザからの情報です。「行けそう」と思えば、自己責任で受けるだけ。食うために複数の草鞋を履く(シノギをする)必要がありました。たとえば、銀行融資詐欺。ブラックの客をニコイチで用意する(融資を受ける者と保証人)。融資の審査担当を抱き込んで、350万円融資させる。関係者に手数料を払っても、200万はこちらの儲けになった。