周りの連中や東京の知り合いから聞いた「オレオレ」の話だと、掛け子は20％、受け子は10％の報酬。これはケース・バイ・ケースだと思います。大阪も同じで、これ（報酬）は、話を持ってきた人間のさじ加減で、どうにでも変わるようです。

　自分らは、掛け、受けの紹介をすることはあったと言いましたが、掛け20％、受け10％と言われても交渉をする。たとえば、その報酬でいいが、そいつがパクられたときは、かかる弁護士代はそちらで見てくれとか。もし、それが出来ないのであれば、それもブッ込みで10％アップしろとか、です。

　いずれにしても、この掛け20％、受け10％は平均ラインに過ぎない。汚い奴ほど自分が多く持って行こうと考えるのは、どこの世界も同じでしょう。だから、青少年を安く使うんでしょうね。

半グレは増え続ける

　半グレのシノギについては、ブラックとホワイトがあるんです。

　ブラックは奥が深い。メインは「薬の売買」で、これは眠剤系のタマ（商品）は特に多かったです。病院の院長に頼み、薬剤師から大量に仕入れて流すなどの薬物系裏売買もそう。

　あとはオレオレ詐欺、偽造カード、金貸し、金塊密輸、コピー商品売買（これは精密な作りゆえに質屋にも入るから、質入れが一時流行した）は、カルティエのダイヤ入りブレスの本物は5000万円だが、コピーなら20万円ほどです。関東の半グレは、この手のコピーを身に着けている者が多いですし、芸能人にも流れています。

　他にも水を売る商売、競馬（私設馬券屋）、FX取引やバイナリー・オプションのAIを入れた自動売買ツール、投資商材のファンド詐欺、株価操作、人身売買、タレントなどの高級デートクラブなど、あらゆるものに及んでいます。

　ホワイトな部類はというと、医者や建築系の会社、部品製造会社へのファクタリング（債権買取と代理回収）。月に1割の利息でも5000万、1億円などと金額が大きいんです。やばいのは一週間で1割などということもありましたから。

　シノギがこれだけあると、半グレの最大の関心事はカネだけという奴もいます。一方で権力も欲しがる奴もいる。

　権力はカネを生むことにもつながります。私の地元では、飲み屋街で後輩がキャバクラを10店舗展開し、「（縄張りのある）主要エリアには（他店の）キャッチやスカウトを立たせない。立つなら他所のグループであろうが、客10組に対し、半分はこっちの店に回せ」というルールを決めており、外人も一切立たせないようにしています。

　以前、そのようにしたいと後輩から相談されたので、私も承諾して、時には頼まれて棲み分けの采配もしてきた。そうすることでカネが生まれるんです。権力はカネなりではないですが、必ずカネになる。権力があれば利権の争いにも勝つことができるし、権力とそれによる人間の関係性がカネを生むということです。

　現在は、ヤクザに遠慮がいらない時代になってきていると思います。そのことを見ても、この先、半グレは増え続けるでしょうね。

　法律も半グレに対して厳しくなってきてはいます。対ヤクザ同様、司法は周辺の反社会的勢力に対してもますます厳しくなる。私見ですが、それでも半グレが無くならないとしたら、それは、社会的格差における不満云々ではないと思いますね。暴走族と同じで、それ（半グレ）でカッコよく稼げると思っている節があるんじゃないでしょうか。また、昔と違い、シノギのレベルも上がり、「オレオレ」のように、若くして大金を手にすることが容易になってきた。犯罪も多岐にわたり、今の時代は（シノギの）レパートリーが豊富にある。この先、まだまだハイテクな犯罪が増えると思うし、当然、それを考えて繰り出していくのは、半グレたちだと思う。