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(作家・ジャーナリスト:青沼 陽一郎)

 新型コロナウイルス対策の特別措置法と感染症法が改正される。

 1月22日に閣議決定した感染症法の改正案では、新たに刑事罰を設け、入院を拒否した感染者には「1年以下の懲役か100万円以下の罰金」、保健所の調査を拒否したり虚偽の申告をしたりした場合は「50万円以下の罰金」としていた。

 ところが28日の与野党の修正協議で、前者を「50万円以下の過料」、後者を「30万円以下の過料」とすることで、自民党と立憲民主党が合意。過料は行政罰で、前科の残る刑事罰を取り除いたことになる。

始まる飲食店への過料、だが飲食店だけが悪者なのか

 同様に特措法についても、休業や営業時間の短縮の命令に応じない事業者に、緊急事態宣言が発出されている場合は「50万円以下の過料」、それ以前に新たに設けられる「まん延防止等重点措置」の場合は「30万円以下の過料」としていたものを、それぞれ「30万円以下」「20万円以下」に減額して合意に至っている。

 与党が大幅に譲歩して、罰則を軽くしたものだが、菅義偉首相は合意後のいわゆるぶら下がり会見でこう述べている。

「与野党の関係者の皆さんに感謝申し上げます。政府としては、この合意を尊重して対応してまいりたい、このように思います。この改正によって、飲食の時間短縮など、今まで以上に実効性のあるものになると思ってます。これからこの感染を縮小させるために全力で頑張ってまいります」

 その翌日から、改正案は衆議院本会議で審議入りし、来月3日には成立する見込みだ。

 特別措置法の改正案が大きく見直されたとはいえ、明らかに飲食業の“取締り”を念頭に置いたものだ。しかし、それで菅首相が言うように「感染の縮小」に「実効性のあるものになる」のだろうか。言い換えれば、飲食業だけが感染拡大の悪玉なのだろうか。