(廣末登・ノンフィクション作家)
昨年は、世界中の老若男女、すべての現代人が経験したことのない異様な一年であった。ファイザーやモデルナが開発したワクチンの効果が顕著に表れ、各国で「陰性確認! よかった」となってもらいたいと願うのは、筆者ばかりではあるまい。何らかのビジネスを営んでいる人にとっては切実な問題であろう。
刑法犯の認知件数は減少しているが
幸いなことに、コロナ禍にあっても、我が国の刑法犯の認知件数は、戦後最低といわれた令和元年度よりも(現時点では)減じている(警察庁刑事局捜査支援分析管理官「犯罪統計資料」第611号、令和2年1月~10月分)。
「そうなの?」と思われる向きもあるかもしれない。ウェブニュースには、連日のように持続化給付金詐欺、振り込め詐欺、閉店後の店舗荒らし、ガス点検を装った強盗、覚醒剤の密売や使用、若者の大麻使用等など、犯罪記事が溢れている。おまけに外国人犯罪集団「東京ブラザース」なども登場し、世間の耳目を集めた。これでは体感治安が悪化しても致し方ない。