適切な睡眠時間は人それぞれ
睡眠に問題を感じている人は、成人の約3割と非常に多いことが知られています(1)。ここでまず確認したいことは、自分にとっての「あるべき睡眠像」というものに過度に囚われていないかどうかです。
「7時間睡眠がもっとも体にいいのだ」と思い込んでいる人は実に多いのですが、第6回でも解説した通り、それは必ずしも事実ではありません。適切な睡眠時間は個人差が非常に大きい。さらに、加齢とともに睡眠時間は短くなるので、「昔に比べて睡眠時間が短いので、おかしい」と思う必要もありません。日中に眠気で生産性が落ちるなどの支障がなければ、それが適切な睡眠時間である可能性が高いのです(第11回参照)。
一方、眠れているはずだけれども、「日中眠い」「仕事に集中できない」「いびきがひどいと言われる」などがあれば、「睡眠時無呼吸症候群」などの病気が潜んでいる可能性があります(第12回参照)。肥満があればそれを解消することが先決ですが、自助努力だけでは解決しないケースも多いので、ぜひ医療機関の受診を検討してください。