自宅でのリモートワークでは、確かに作業効率が遅くなります。しかしだからといって、のんびりと仕事をすること自体は不快ではないなと個人的には感じています。みなさんはいかがでしょうか?

 ここで、仕事の生産性と、私たちの睡眠を含めた、生き方について少し考えてみたいと思います。

コロナがあぶり出した生産性という幻想

 今回のコロナ禍で、私たちは今まで当たり前だった社会生活が次々と崩れていくのを目の当たりにしました。

 そして、誰もが1年前には全く想像もしていなかった境遇に立たされました。良きにしつけ悪しきにつけ、「あ~、前はこんな生活だったなぁ・・・」と振り返ることが多かったと思います。つまり、私たちは否応なく「以前の自分を客観的に見る」という機会を持たされました。これは決して悪いことばかりではなく、様々な気付きを与えてくれたのではないでしょうか。

 もちろん多様な意見、考え方があるでしょうが、私個人としては「随分、生産性という言葉にとらわれていたな」と感じています。

「生産性を上げて、人よりも少しでも多くの時間を捻出する。それによって仕事量を増やし、少しでも多くお金を稼ぎ、少しでも多くのモノを所有、または消費する。それが、もっとも幸せなことなんだ」そんな、生産性の幻想に私たち現代人はとらわれていたのではないでしょうか。

 また、多くのモノを所有、消費できればまだ良いのかもしれませんが、その時間すらなく、楽しみは将来に取っておくとうそぶいて、増やした仕事に埋没してはいなかったでしょうか。本当は、仕事以外にもやりたいことがたくさんあるのに、目の前に仕事が現れたら、それをみすみす見逃すということは意外と難しい。特に、仕事量が直接収入に反映される自営業やフリーランスの方はその傾向が強いでしょう。

イラスト:近藤慎太郎

 マンガのように、ここが勝負の分かれ目で、全力でぶつからなくてはいけないという時は、誰にでもあると思います。そういった、人生の中でも数回あるかどうかという仕事の場合は話が別です。

 そうではなく、「単にどれだけ多くの仕事をこなすかに汲々としていないか」ということを、私たちは自分自身に問いかける必要があると思うのです。