ただ、これは正弦関数を使って記述することに相当し、先々の複雑な議論、フーリエ解析を用いた二足歩行ロボットの安定性などにも、筋道よくつながりますから、これを選びます。

 私たちが「歩く」ときのステップは、頭で考えると「脚」で踏んでいるように思いますが、現実に測定してみると、対応する「有効単振り子」の長さは36センチほどしかない。

 その観点から、測定データを見てみると、太ももの長さが35センチ程度、膝から下の長さが45センチ程度、となっているのが目に入ります。

 人間が、この2つの「振り子」がつながった「連成振り子」として歩行していると考えるモデルを立てることも可能ですし、中学高校生の範囲では、私たちが

「膝から下だけでも歩ける」
「太ももだけでも歩ける」

 といった、融通無碍な身体を持っていることに、新たな視線を当てられれば、私は十分だと思っています。

 ここからさらに、足を失った人、義足のダイナミクスなど、ハンディキャップや福祉に目が向けば素晴らしいとも思います。

 障害は決して特別な人に訪れるわけではない、高齢化が進むなか、誰もがいつか、歩行の自由を失う可能性が高くなっている。

 そんなとき、こんな簡単なバカみたいな計算(先生の計算は動物みたいですねと、優秀な院生諸君に笑われたこともありますが)からでも、私たちは様々な「倫理」、思いやりを持って物事を熟慮することが可能です。

 STREAMMのE(倫理Ethics)は、単なる「べき論」ではなく、このようにサイエンスに根を持つ、参照根拠を伴う倫理で、AIの様々な問題を扱うアルゴリズム・ベースト・エルシー(Algorhythm-based ELSI Ethical, Legal and Social Issues)の本質に直結しています。