昨年10月1日、18歳未満の実の娘と性交した、として「監護者性交」の罪に問われたとび職の男性を裁く公判が岐阜地裁で開かれました。
菅原暁哉裁判長は「心身に受けた被害の大きさは計り知れず、犯情は相当に悪い」として懲役9年の判決を言い渡しています。
このケースは、内容を確認すればするほど悪質で、実の父親が娘に対してそのような行動を取りながら、携帯で動画や写真記録を取り、それを盾に娘を脅すといった、常識的には考えられない行為が常習化していたことが、法廷で明らかになっています。
このような判決がある一方で、7年ぶりに会った13歳の実の娘に対して、わいせつな行為を働いた実父の処罰に苦慮する、離婚した母親のケースが報道されています。
(https://news.yahoo.co.jp/byline/ogawatamaka/20191027-00147991/)
このケースでは、2018年、9年前(2009年)に離婚し、2012年以来7年ぶりに再会した13歳の娘に対して、実の父親がわいせつな行為を働いたというものです。
2018年の秋に娘から相談され、母親が事実を知るに及び、警察に被害を申し出て「強制わいせつ」や「監護者わいせつ」の観点から捜査の準備が進んでいました。
ところが、前回(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/59083)にも言及した「岡崎判決」すなわち父親が娘と性交して無罪判決が出て以降、刑事たちの姿勢がトーンダウンしてしまった。というのです。
「監護者わいせつ」とは何か?
これらの事件報道に登場する「監護者性交」「監護者わいせつ」という言葉、やや耳慣れないと思われる方があるかもしれません。
実際、これらは比較的新しく成立した考え方で、平成29年6月16日に成立、7月13日から施行された、いまだ2年ほどしか歴史と判例のない新概念にほかなりません。
その根拠となっている、改正刑法179条を確認してみましょう。