19世紀、十分に偶像化していたい古典派巨匠を権威づけるもったいぶったテンポとして、商品としてのメトロノームに印字された遅いテンポを、私は「国民国家創成期の時代の産物」と見、またその理由をもって棄却します。

 実はアンダンテが不自然にゆっくりである背景には、社会的な問題が存在すると思っていますが、これについては別論としましょう。

 何にせよ、私は100程度の快活なbpmでモーツァルトを演奏する。文句がある奴は勝手にしろ、という開き直りですね。

演奏の様子 @ダイワユビキタス学術研究館石橋ホール Photo:北澤華蓮(ヴァイオリン)

「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」というよく知られた楽曲があります。セレナーデ13番ケッヘル525というものですが、これの演奏に子供の頃から不満がありました。

 第2楽章だけ、レコード録音の時間が2倍くらい長いのです。

 そして演奏はどれも軒並み中だるみして退屈、我が家には父の遺品でG.ショルティとK.ベームの2つのLPレコードがありましたが、ベームのそれは間延びした老人の時間感覚と、小学生の私には感じられ、我慢ならないと思っていました。

 そういうところから、実は今の仕事に正味でつながっています。