金正恩は金日成のクローン

 もう一人、21世紀の独裁者として著者が挙げているのが1月8日に36歳の誕生日を迎えた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長だ。

 金正恩氏は現代独裁者の中でも祖父・金日成、父・金正日を継承する世襲制独裁者ということでも他に例がない。

「金正恩氏は2011年に父・金正日氏の死後、指導者に就任した。その後、2013年には約70人の政府高官、軍幹部を処刑した。その中には義理の伯父、張成沢前国防委員会副委員長も含まれていた」

「側近たちには自分の肖像写真が描かれたバッジを与え、忠誠を誓わせた」

「体型から髪型まで祖父のようにし、自分に接する際の事細かなガイドラインを側近に守らせ、自らの発言を一字一句書き留めるように命じた」

「金正恩氏は祖父のように歩き、祖父のように笑い、祖父のようにふるまった」

 世襲制独裁者はほかにはいない。「建国の父」金日成主席のクローン人間になることで、北朝鮮の国民が抱き続けてきた金日成に対する個人崇拝まで継承するという他国では考えられないような離れ業をやってのけたのだ。

 そのためには伯父だろうと腹違いの兄だろうと、殺害してきた。恐怖政治と暴力と個人崇拝とで独裁国家を安定化させている。

 その金正恩氏をトランプ大統領はこう褒めた。

「まだ30代の若者が政敵や反対分子を排除しながらよく国家を支配してきたものだ」

 核実験をやったり、ミサイル発射実験を続ける金正恩氏を一時は「ロッケトマン」と茶化した。が、その後金正恩委員長を褒めることはあっても悪口を言ったためしがない。