「毛沢東の大飢饉」の著者が20世紀独裁者列伝

How to Be a Dictator: The Cult of Personality in the Twentieth Century by Frank Dikotter Bloomsbury Publishing, 2019

「トランプ独裁者論」が囁かれている時、タイミングよく出た本がある。今、米知識層の間で広く読まれている。

 タイトルは「How to Be a Dictator: The Cult of Personality in the Twentieth Century」(いかにしたら独裁者になれるか:20世紀の個人崇拝)。

 著者はフランク・ディケーター香港大学教授兼フーバー研究所上級研究員。香港を拠点にこれまでに中国に関する著書を10冊著わしている。

 代表作には邦訳されている「 Mao's Great Famine」(邦題:毛沢東の大飢饉)がある。

 著者は毛沢東がいかにして独裁者となり、中華人民共和国という現代でも稀に見る中国共産党一党独裁体制を敷いたかについて調査研究してきた。

 毛沢東を一つの尺度にして20世紀の独裁体制国家と独裁者を一つひとつ丹念に分析している。著者はこう指摘している。

「いかなる独裁者もただ恐怖政治と暴力による抑圧政策だけで国家を支配したわけではない」

「恐怖政治や暴力で大衆を服従させることはできるが、あくまで一時的で長続きするものではない」

「20世紀に入り、人類は多くの新しいテクノロジー(ラジオやテレビなど)を手に入れた、その結果、国家の指導者たちは自らのイメージと声を一般市民の茶の間に直接送り届けられるようになった」

「これにより独裁者たちは選挙を通じることなく、一般大衆の支持を得るために自分たちへの個人崇拝(The Cult of Personality)を強要し、成功したのだ」

 この個人崇拝こそが20世紀における「独裁者」にとってのキーワードだった。