作業系と思考系では鍛え方が異なる

 ポイントは2つです。研修の仕分けと、絞り込みです。仕分けは、研修・人材育成は成果がすぐ出やすいものと、時間がかかるものに分けて考えます。

 すぐに成果が出やすいのは「作業系」です。「PCの入力スピードをあげる」「この一言でコミュニケーションミスをなくす」など、頭で考えるのではなく、反復作業をすれば身に着くものです。

 時間がかかるのは頭脳を使う「思考系」です。ロジカルシンキング等は、基礎を学んでも実際にできるようになるには一定期間の修行が必要となりますが、逆にこれを身に着けるとライバル企業に差がつけられます。

 この2つの系のバランスを取りましょう。作業系は具体性をあげ、即効性を現場で感じてもらうことが重要です。思考系はホップ、ステップ、ジャンプのように段階を経てレベルアップできるように設計するとよいでしょう。現場はすぐ結果を欲しがりますが、段階を示すことで、「そうか、今年はここまでだな」と現実的なラインで抑え込むことができます。

 また研修の絞り込み方ですが、現場の声を総括したうえで、一度身に着ければ幅広く応用できる「一粒で二度美味しい」スキルに絞り込むとよいでしょう。

作業系は「今すぐできる」くらい具体的に

 もう少し詳しく説明しましょう。

 作業系は速く結果を出しやすいテーマです。現場の声をもとにニーズの高い順番で研修プログラムを組みましょう。現場ですぐに結果を出し、組み上げた研修プログラム全体への参加意欲を高めるのです。ポイントとなるのは講師選びとノウハウの具体性です。「このひと言」や「このひと手間」でどんな結果がすぐでるか明快であることが求められます。「60点で資料を提出してレビューをしてもらう時は『たたき台』『速報』などを最初のひと言に添える」など、現場でこう言えばいいという具体性がないと、研修参加者は現場で再現できません。

 オールドタイプの研修講師やノウハウは抽象的で今の現場にはあいません。見極めるポイントはテキストを実際に見せてもらうことです。ノウハウ漏洩を嫌がるなら、打ち合わせの場で、一つ二つ確認するだけでもかまいません。そこで必要以上に嫌がったり、過去の実績や大手の営業会社の名前で仕事を取ろうとしたりする講師はオールドタイプである可能性が高いです。最近は講師にデモ講義をしてもらい選択するケースも増えたので、講師が得意なところではなく、現場に「どの一言」「どんなワンアクション」をすれば結果に繋がるかについてデモ講義をすれば見抜けます。

 講師が書いているビジネス書をベースに選定するのも有効です。どの程度、具体的なノウハウを持っているかがわかるのでお勧めします。