こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。
実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?
今回も「働き方改革」のセオリーの落とし穴と、代わりの速くラクに成功するコツについて解説していきます。
働き方改革を「働き甲斐改革」にしても何も変わらない
経営者側からすれば「働き方改革」は「働かせ方改革」です。そこで、社員が働きやすいように職場や制度のインフラを整備するわけですが、そのこと自体に反対する人はいないでしょう。
しかし、その結果、社員が自律的にイキイキと働けるようになり、生産性もモチベーションも上がったか、というと「そうでもないな」という事例が溢れているようです。いや、むしろ「仕事が進まず大変になった」という話もよく聞くものです。
例えば、とあるフランス系の会社では、在宅勤務を許可した結果、始業時間前後に「今日、在宅勤務にします」との連絡が立て続けに入るようになり、職場はいつもガラガラ。在宅勤務の場合は、いつでも連絡が取れるようSkypeを立ち上げておくルールなのに、それも無視され、なかなか社員と連絡がつかない。挙句の果てには、「週末が雨だったので、溜まった洗濯モノが始末出来た。在宅勤務で助かった」なんてのたまう始末。
あるいは、海外から赴任してきたマネジャーが、今年のGWの10連休に加え、有給消化せずに在宅勤務枠を上限まで使い、都合3週間も出社しない事態に――というようにルーズに使われるケースもあるようです。
一方で、「どんな作業を何時間で実施して・・・」という具合に、全ての作業と予定工数を一覧にして上司の承認を得ないと在宅勤務ができず、その一覧表をつくるだけで膨大な時間がかかってしまうので、「そんなバカバカしいことに貴重な時間は使いたくない」とばかりに在宅勤務を誰も申請しない、という会社もあります。それでもその会社では、人事から申請するよう強く言われるので、イヤイヤながら持ち回りで在宅勤務の「部署ノルマ」をこなしているなどいう、本末転倒な運用がなされているのだそうです。こうなってくると、もう「働き方改革」とは言えません。