(人事・戦略コンサルタント:松本利明)

 こんにちは、人事戦略コンサルタントの松本利明です。PwC、マーサー、アクセンチュアなどの外資系大手のコンサルティング会社などで24年以上、人事と働き方の改革を行ってくる中で「おやっ!?」と思えることが実は多く発生してきました。

 実は、世間で言われる「セオリー」の9割が間違っているのです。思ったような効果が出ないのは、計算ミスより計算式そのものが間違っているのです。うすうす、あなたも気づいているのではないでしょうか?

 働き方改革の実現は、働き方の質を上げるだけでは限界があり、どうしても人材の「量」も必要です。しかし、今は、空前絶後の人員不足。お金を出して採用広告を打ってもなかなか欲しい人材が採用できないのが実情です。そこで、人材獲得にアピールポイントとして、教育施策を充実させる企業が増えてきました。

 教育プログラムの充実は、今いる人材を強くするだけでなく、人員の採用にもいい効果が見込めるので企業にとっても大きなメリットがあります。しかし、実はここに落とし穴があります。

現場の声を反映した研修も参加するのは暇人ばかり

 経営陣や管理職、現場のスタッフに研修ニーズを聞く、というのは半分正解です。というのも、研修ニーズを聞かせてくれた人たちは経営や現場のプロですが、人材開発のプロではないからです。逆に人材開発のプロが、今の現場のプロでない場合も多く、そのミスマッチが悲劇を招きがちなのです。

 しかもその問いかけも、「どんな研修ニーズがありますか?」という漠然としたものなりやすいので、答えの粒もばらつく上、実は「思い付き」のニーズが寄せられることも少なくありません。

 近所のラーメン屋さんが「メニューを増やしたいので何か食べたいものがありますか?」とお客さんの要望を聞くようなものです。実際にやってみたら、きっと「鰻が食べたい」「熟成肉が食べたい」「タピオカ飲みたい」など様々なリクエストが寄せられることでしょう。それを全部聞き入れてメニュー化しても、おそらくリクエストした本人でも、せいぜい1回くらいしかオーダーしない、いう結果になるのはよくあることです。結局、食材のロスはでるわ、「どんな料理がメインなのか分からないお店」との認知が広まるってしまうわで、逆に客足が減ってしまうのがオチです。