古来、中国古典の前提は身分制社会であり、出自の良い社会上層階級のリーダーのための学問として継承されてきた。

 これに対して日本は、自由・民主・平等などを重視する西洋の思想・制度に基づく社会を構築し、身分制ではない、自由で平等な民主主義社会の安定を長期にわたり実現している。

 中国や韓国では、これほど広く深く社会全体の中で西洋と東洋の思想・制度を融合させるには至っていない。

 日本は東洋思想の概念を西洋型政治経済社会制度上で長期にわたって安定的に実践している唯一の国である。

 だからこそ、その意義は西洋の目から見ても分かりやすく、西洋社会においても十分応用可能である。

 いま、欧米諸国の社会ではエスタブリッシュメントに対する信頼が低下し、啓蒙主義と科学の力だけでは突破できない厚い壁に突き当たり、深い苦悩に陥っている。

 先進諸国の中で唯一日本のみが「理性」に基づき、社会の安定を保持している。

 これは国民各層に浸透している東洋思想的道徳教育の支えによる部分が大きいと考えられる。

 欧米諸国で社会分裂がこれ以上進行することを抑え、グローバル社会全体として平和、自由貿易、経済協調発展の実現を目標として共有する体制を堅持していくには「理性」が重要である。

 日本がモデルとなって、西洋型政治経済社会制度に東洋思想を取り入れ、社会の安定を図る新たな国家像を示す。

 それは世界の中で日本にしかできないことである。日本がグローバル社会においてに果たすべき使命が見えてきた。