仏警察、中国企業所有のワイン醸造所10軒を差し押さえ 脱税などの容疑

仏警察、中国企業所有のワイン醸造所10軒を差し押さえ 脱税などの容疑。写真はフランス南西部ボルドー近郊のブドウ畑(2018年4月26日撮影、資料写真)。(c)AFP PHOTO / GEORGES GOBET〔AFPBB News

1.欧州でも続く中国人旅行客の爆買い

 今年から仕事の関係で、欧州にも定期的に出張するようになった。すると、欧州諸国の新たな友人たちとの会話の中で自然に彼らの中国観が伝わってくる。

 そこで見聞きすることは日米中3国関係の中で中国を見る視点とは違った角度から中国を見る機会を与えてくれる。

 銀座、新宿、道頓堀などでは相変わらず中国人の爆買いの光景をよく目にする。日本人はすでにそれに慣れてしまって、あまりニュースにはならなくなった。

 当たり前のことであるが、中国人の派手な買い物は欧州でも同じように行われている。それが思わぬ副作用を生んでいる。

 パリ在住でフランス国籍のベトナム系の女性が、20年前はショッピングをしていてもフランス人と全く同じ扱いを受けていた。

 しかし、最近は旅行客の裕福な中国人と勘違いされて、爆買いを期待する店員から明らかに一般のフランス人とは違う扱いを受けるようになってしまった。

 本人にとっては決して愉快ではなく、買い物に行くのが楽しくなくなったと漏らしているという話を聞いた。

2.フランス人の中国企業に対する警戒感の高まり

 中国企業がフランス各地で引き起こしている問題はもっと深刻な影響を与えている。

 ある地域では中国企業が大規模な牛乳工場を建設し、近隣の農家と生乳買い付けの契約を結んだ。

 しかし、フランス現地での需要予測をきちんとしていなかったため、販売不振で大量の在庫を抱え、近隣の農家との契約を打ち切らざるを得なくなった。

 中国企業との新たな取引に期待を寄せていた農家は途方に暮れた。