米中首脳、G20で首脳会談か 関係改善は不透明

中国・北京の人民大会堂で行われた歓迎式典に出席するドナルド・トランプ米大統領(中央)と習近平・中国国家主席(2017年11月9日撮影)。(c)AFP/NICOLAS ASFOURI〔AFPBB News

1.米中対立の現状

 米中間の貿易・技術摩擦は米中両国とも強硬姿勢を崩さず、平行線を辿っている。

 米国経済が現在の良好な経済状態を続ける限り、ドナルド・トランプ政権の対中強硬姿勢が変化することは考えられないため、状況打開の突破口は見つからないと見られている。

 11月6日の中間選挙で下院において共和党が過半数を割ったとしても、民主党議員の多くも同様の反中感情を共有しているため、米国の対中外交に大きな変化はないとの見方が多い。

 米国政府の中国側への要求内容は、技術強制移転政策の転換、中国製造2025の停止、外国企業の中国国内生産拠点の海外移転などあまりに厳しく、中国政府が妥協できるような中身ではない。

 米中両国の真っ向からの対立状況に何らかの変化が生じるとすれば、米国において株価の大幅下落、景気減速など貿易摩擦に起因すると考えられる経済問題が明確に表面化し、トランプ政権側に中国への強硬姿勢を修正するインセンティブが生じる時しかないと見られている。

 何らかの理由で米国側が中国に対して一定の譲歩を示す可能性が生じれば、中国政府も技術移転促進政策の修正、知的財産権保護の強化、それらの具体策の早期実施などの妥協案を提示する余地が生まれると期待されている。

2.米中対立は長期化し、日本は難しい選択を迫られる

 この米中貿易・技術摩擦は、相手国商品の不買運動、全国各地での抗議デモ、貿易・投資禁止措置といった全面的経済戦争、あるいは武力衝突にまで至る最悪の事態は回避できるのではないかとの見方が多い。

 とは言え、両国が良好な関係を回復することは今後長期にわたり極めて難しいと予想されている。

 米国が脅威として問題視しているのは中国経済の規模が米国に追いつき追い越していくことそのものであり、その抜本的解決策は2020年代半ばまでに中国経済の成長を止めるしかない。

 それは現実問題としてあり得ない。