鹿児島最大の繁華街、天文館にある「産直鉄板ビーファーズ」では品評回受賞者の牛飼い名人が育てた4等級以上の県産黒毛和牛を鉄板焼きで楽しめる。店内に入ってみると、地元の人が多いようだが、聞けば観光客も足を運ぶという。さっそく、サラダと共に、サーロインやヒレ、そしてラムなどを頼む。添えられた塩がまた肉と相性ばっちり。南さつまの坊津で作られている塩だという。咀嚼をしながら、赤ワインを口にふくむと肉汁の美味しさが格段に際立つ。肉々しい後のシメはガーリックライスでお腹も心も満たされる。
食べ終わり、店を出ると、斜め左の向かいには、美味しいソフトクリームが食べられる「cafe369 milk & cheese」があった。食後のデザートにと、夜なのに注文し、すぐに口へ運ぶ。さっぱりとした甘みと口溶けで食後のデザートにはぴったりだ。
筆者がここで食べたものはすべて1つのグループ会社によって提供されている。鹿児島県に本社を置くカミチクグループがそれ。多くの企業が取り組んできたが、難しいとされてきた牛肉の6次産業化をなしえた会社として、注目を集めている。
創業者で現会長の上村昌志氏は、畜産農家の息子で、23歳で食肉卸を立ち上げ、1985年に現在のカミチクにあたる有限会社上畜を創業した。現在はグループ全体で約350億円の売上規模を誇り、従業員は1000名を超える。
食の6次産業化の夢と現実
農林水産省が推進する「食の6次産業化」とは、生産(1次産業)、加工(2次産業)、流通・販売・サービス(3次産業)の一体化や連携を意味する。1次、2次、3次を掛け合わせて6次、というわけだ。なぜこんな取り組みを推進しているのかというと、1次産業の利益率の悪さが原因。利益率の良い2次産業・3次産業を合わせることで所得を向上させていこうというのが狙いである。