「おしぼり一本の命は会社の礎だ」
中央自動車道の国立府中ICから降りてすぐの場所は、工場街となっている。その中でも、ひときわ目立つ黒い建物群。その建物内部のいたるところに掲げられているのが、冒頭の揮毫(きごう)だ。
建物の持ち主はFSX株式会社(東京都国立市)。2016年までは藤波タオルサービスという会社名だった。1967年創業の同社の主力事業は「貸おしぼり」。喫茶店やレストランなどで出される「おしぼり」を提供している。
同社は藤波社長が入社した2004年当時は、年商8億。それが2017年の年商は約20億円。業容は大きく拡大し、利益も着実に出し続けている。貸おしぼり市場は、価格破壊等もあり、年々営業利益率は下がる一方だというが、成長の秘密はどこにあるのだろうか? その一端を担っているのが、2代目の藤波克之社長だ(2004年に入社し、2013年に社長に就任)。創業者である現会長が始めた「貸おしぼり」という事業を軸足に、父(会長)と子(社長)、そして社員を巻き込んで新しい展開を次々と打ち出し、現在にいたる。
おしぼりは日本の素晴らしい文化
藤波氏がFSX(当時は藤波タオルサービス)に入社したのは、2004年。NTTの系列会社で法人営業をしていた同氏は、父親の入院を機に入社することを決意する。
「長男なので、跡を継ぐかもしれないとは思っていたのですが、こんなに早く会社に入るつもりはなかった」