サテライトオフィスやスタートアップ企業の設立を地方自治体が誘致したり、実際に若者が移住したりするということはもはや珍しくなくなった。その先駆けともいえるのが徳島県神山町のグリーンバレーだろう。
その名はすでに広く知られており、全国の自治体や団体からの視察が後を絶えない。長く続くには理由があるに違いない。それを尋ねるため神山へ向かった。
NPOグリーンバレー理事長大南信也さんに話を聞くと、グリーンバレーが世代交代を迎え、新たな転換期に入っていることが分かった。今後、他の地域も直面するであろう課題も踏まえ、話を聞いた。
移住者ではなく、受け入れ側が人を選ぶ
徳島市内から車で50分。県北東部に位置する町が神山だ。山と川に囲まれ、お遍路さんの姿もあちこちに見ることができるこの町は、日本だけでなく海外からも移住者が多い。そのため町中で外国人の姿を見ることも多く、初めて訪れた人は驚くかもしれない。まぶしい日差しの中、神山町農村環境改善センター内にあるグリーンバレー事務局を訪れた。
この日も筆者の他にグリーンバレーを取材に訪れていた媒体があり、関心度の高さがうかがい知れた。グリーンバレーが長く続いていることについて尋ねると大南さんは意識の違いを挙げた。