高知市内から3時間で到着する四万十町。本流に大規模なダムが設置されていないことからも四万十川は日本最後の清流とも呼ばれている(筆者撮影、以下同)

日本は、新しいものを創るのが苦手だと言われている。それは、ルールを守ることに長け、ルールを作ることに慣れていないからだ。しかし、日本を変えていくのは「新しいゲームやルールを創る」ことができる人々だ。彼らは何を考え、どのように動いているのか?

「まずは食べて見て下さいよ」

 そう言われて、差し出されたトマトは、角が生えたような尖った形の無骨なトマト。おそるおそる手に取って口に運ぶ。噛んだ瞬間に、肉厚の果肉からこれまで食べたことのない甘みの強い果汁が口中に広がった。

 四万十川の源流に位置する十和村。高知市内から車でおよそ3時間のこの場所に、全国から注文が殺到するトマトが育てられている。

 南国のように温暖な気候でありながらも、1日を通して寒暖の差が激しい高知県。朝と夜は冷え、日中はぐっと気温が上がる。もともとトマトを作るには適した場所だが、そこで特に注目を集めているのが「狼桃」(おおかみもも)というトマトだ。角が生えたような尖った形に厚い皮。糖度が9度以上と甘く、しかし酸味もありしっかりとした食べ応えのあるこのトマトは、一度食べると忘れられないと日本全国にファンを持っている。

差し出された「野生派トマト 狼桃」。うまい!

圧倒的に高価、それでも注文が殺到

「特別トマトが好きなわけではなかったんですが、初めて食べたときにこれなら商品としていけると直感しました」