そこで上村代表は自分たちの育てている牛は安心できるということを伝えるため、鹿児島のスーパーで販売を決行。自社の安全・安心を社員たちが自ら訴え、試食コーナーを設けるなどの販売支援を行った。スーパーの助けもあって、この取り組みは成功した。

「食の安全安心の大切さをあらためて痛感し、その後、SQF2000/HACCP認証や生産情報公表JAS規格などを取得していきました。本当につぶれてしまうのではないかと思うほどの衝撃でしたが、そこから逃げずに立ち向かったことで自信をつけることができたと思います」

 今後の目標は、6次産業化体制をまず整えたので、グループ各社の成長をさらに促進させていくことが1つと話す上村氏。取材に同行し続けてくれたご子息の上村昌平氏は、現在カミチクホールディングスに所属し、海外戦略を練っているという。

会社理念とともに、上村昌志会長(右)とご子息で取締役の上村昌平氏(左)

「海外への進出はまさにこれからといったところ。私が親父の夢である6次産業化を叶えたように、私の夢である世界へカミチクのお肉を届けることは息子たちの世代に任せていこうと思っているんです」

 そう話しながらも、筆者に「とはいっても、外食産業などは不得意なところもある。いろいろ教えてくれませんか?」と笑顔で話しかけてくれ、各社の事例などを話すと素早くメモを走らせる。旺盛な好奇心と、行動力は59歳の今もなお、変わらないようだ。