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近畿大学呼吸器外科主任教授の光冨徹哉先生(左)と、聞き手の日本肺癌学会Chief Marketing Adviser柳澤昭浩氏(右)。

(聞き手:柳澤昭浩/文:木口マリ/写真:八田政玄)

 ここ最近、「がん」が報道されることも増えてきました。その中には、これまであまりなじみがなかった言葉も多く飛び交っています。例えば「肺腺がん」——故 野際陽子さん(女優)・中村獅童さん(歌舞伎役者)・いときんさん(ET-KING)が罹(かか)られたことで話題となりました。

 この肺腺がんとは、いったいどのようながんなのでしょうか。肺がんの最新治療も含め、日本肺癌学会理事長であり、次期世界肺癌学会理事長、近畿大学呼吸器外科主任教授の光冨徹哉先生にお話をうかがいました。

 第1回は「肺腺がんとは」をテーマに、第2回の今回は、肺がんの最新治療「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害剤」について、分かりやすく解説していただきました。(全2回/最終回)

飛躍的に進歩する薬物治療——「分子標的薬」「免疫チェックポイント阻害剤」

柳澤:第1回に引き続き、よろしくお願いします。一昔前と現在では、肺がんの治療も大きく変わってきていますね。

光冨:肺がん治療のなかでも、転移があり手術ができない患者さんに関しては、薬物治療の発展が重要となっています。

 20世紀末、2000年ころの薬物療法では、プラチナ製剤が標準治療として使われていました。脱毛や嘔吐などの副作用が強く、辛い治療となっていました。そのころのデータでは、ステージIVの患者さんは平均1年程度で亡くなるというもので、“治る”というレベルとはほど遠いものでした。