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近畿大学呼吸器外科主任教授の光冨徹哉先生(左)と、聞き手の日本肺癌学会Chief Marketing Adviser柳澤昭浩氏(右)。

(聞き手:柳澤昭浩/文:木口マリ/写真:八田政玄)

 ここ最近、「がん」が報道されることも増えてきました。その中には、これまであまりなじみがなかった言葉も多く飛び交っています。例えば「肺腺がん」——故 野際陽子さん(女優)・中村獅童さん(歌舞伎役者)・いときんさん(ET-KING)が罹(かか)られたことで話題となりました。

 この肺腺がんとは、いったいどのようながんなのでしょうか。肺がんの最新治療も含め、日本肺癌学会理事長であり、次期世界肺癌学会理事長、近畿大学呼吸器外科主任教授の光冨徹哉先生にお話をうかがいました。(全2回)

肺がんの中でもメジャー!? 「肺腺がん」とは

柳澤:今回は、日本肺癌学会理事長の光冨徹哉先生にお話をうかがいます。先生は今年(2017)、世界肺癌学会の理事長に就任されるそうですね。

光冨: 10月に横浜で開かれる「世界肺癌学会」終了後より、プレジデントエレクト(次期理事長)、プレジデント(理事長)、パストプレジデント(前理事長)として各2年ずつ計6年間、世界肺癌学会の理事会に関わらせていただきます。世界的に肺癌学会をもりあげていくうえで、日本から理事長が出るということは意味のあることと思っています。

柳澤:先生が理事長をされている2020年には東京オリンピック・パラリンピックがありますね。“光冨先生だからこそ”の何かができるといいですね(笑)。期待しています。

 最近の著名人の報道などで「肺腺がん」という言葉を聞くようになっています。野際陽子さんや中村獅童さんが肺腺がんに罹られたことで、関心も高まってきました。「肺がんとは違うの?」「珍しいがんなの?」など、様々な疑問を持たれている方も多いと思います。まず、肺腺がんとはいったいどのようながんなのかを教えてください。