光冨:肺腺がんというのは、肺がんの一種です。

 臓器での分類——例えば、肺がん、胃がん、大腸がんなどであれば分かり易いですが、「腺がん」というのは分かりづらいかもしれませんね。そもそも「腺」というのは、唾液腺、乳腺などのように、何かしらの液体を出すような器官で、管のような構造をしています。その「腺」にできたがんを腺がんと言います。腺がんは様々な臓器にできます。胃がんはほとんどが腺がんですし、子宮がんにも腺がんがあります。腺がんが肺にできると「肺腺がん」と呼ばれるわけです。

 多くの臓器では、それぞれ、できたがんのうちほとんどが腺がん、ほとんどが扁平上皮がんなど、種類がおよそ決まっています。しかし、肺がんは様々な種類があることが特徴です。肺がんで多いのは、腺がんのほか、扁平上皮がん、小細胞がん、大細胞がんの4つになります。

柳澤:肺がんの中での腺がんの割合はどのくらいでしょうか。

光冨:日本では、肺がんのうち男性で4割、女性で7割以上が腺がんですので、肺がんの中では最も多いタイプと言えます。

 実は、20年くらい前の肺がんでは、扁平上皮がんと腺がんは同じくらいの頻度でした。しかし、近年では腺がんの方が多くなっています。扁平上皮がんが減ったというよりも、肺がんに罹る人が全体的に増加し、そのうちの腺がんの割合が増えているといったところです。

肺がんの原因は、喫煙とは限らない

柳澤:肺がん、特に肺腺がんの原因にはどのようなものがあるのでしょうか。