柳澤:続々と登場していますね。ALKや ROS1の異常が見られる割合はどれくらいですか?
光冨:先ほどEGFRの遺伝子異常は約50%の肺腺がん患者さんに見られるとお話しましたが、ALKは約5%、ROS1は約1%なので、EGFRに比べると少ないですね。しかし、患者さんに適切な薬剤を見出すことによって、より有効な治療ができるようになってきています。これらのお薬の登場によって、こういった遺伝子異常を持つ患者さんの生存期間が現在は平均3〜4年に伸びています。
柳澤:2つ目の「免疫チェックポイント阻害剤」とは、どのようなお薬でしょうか。
光冨:免疫チェックポイント阻害剤は、ここ2〜3年で注目されてきているお薬です。
そもそもがん細胞には様々な遺伝子異常があり、異常タンパク質を作っています。そのため正常な細胞と見分けがつき、本来であれば、体内にあるリンパ球が「これは異常なものだ」として攻撃をするというメカニズムが作動します。
しかし、がん細胞は、ある分子(PD-L1やCTLA4といったチェックポイント分子)を使ってリンパ球の攻撃を食い止めてしまっています。それを攻撃できるようにするために、「食い止めてしいるものを阻害しよう」というのが、免疫チェックポイント阻害剤なのです。
柳澤:チェックポイント分子には、どのようなものがありますか。
光冨:チェックポイント分子には、「PD-1/PD-L1」と「CTLA-4」などがあります。PD-1は、京都大学の本庶佑先生らが発見しました。現在、これらのチェックポイント分子に対抗する薬として「オプジーボ」と「キイトルーダ」が使われています。
柳澤:日本人研究者が、がん医療の躍進的な発展に貢献しているのは、本当に誇らしいですね。現在のところ、これらのお薬の成果はいかがでしょうか。