こういう反応ですね。何にしろ、人間として成長、発達し、適切に能力が身につけば、目立つ指差しの行動は見られなくなっていきます。赤ん坊が直情的に使うコミュニケーションですから失礼とされ、マナー上禁止する文化も出てきます。
ちなみに私たち指揮者はオペラの演奏で、舞台上にいる歌手に左手で指示を出すとき、できるだけ「指差し」せず、人差し指から小指まで4本の指をそろえてキュー出しするように教わります。
一本指で差すのはキツいシグナルになります。
でもきついシグナルが必要な場合もある。オーケストラのひな壇で、隣に並んでいる2番フルートとピッコロを指し示し分けるようなタイミングですね。
こういうときは、指の腹を上にして示すと、はるかに柔和なニュアンスになります。そういうテクニックを30年来、仕事で反射的に使っていますので、この種の案件に私たちは敏感なのです。
いわゆる「指差し」を行うときには「私は皆さんより上位にいますよ」と宣言する意味があふれまくりますので、プライドの高いオーケストラ楽員会を敵に回したくない指揮者は、そういうことは避けるものです。この種のことに鈍感な人がポジションを失う例は枚挙に暇がありません。
社会的な場で人を指差す人がいれば、それは「自分が相手より上位だ」と鋭くアピールしようとしている潜在意識が強く想定されるでしょう。
この際、指差している人は、何らかの心理的フラストレーションをためており、かつそれを自分自身では解決する能力を持たない、非力でか弱い本質を持ちながら、それを見せないよう虚勢を張るような場合、頻繁にこの種の乳児行動が出てきてしまう、一種のチック症状と思って見る方が、処世術としては安全でしょう。
もし身近に、頻繁に指差す人がいれば、私の知る中にもそういうかわいそうな教授屋さんがありますが、自分の無力、非力に本質的にはイライラしながら、それをマナーで隠す賢慮を持たない人であると懸念されますから、近づかない方が安全かもしれません。
国会などで人を指差す人物がいれば、野党議員であろうと閣僚であろうと、実際にはイライラをためた、本質的には非力で無能な人が立ち居振る舞いの基礎マナーも学び損ねている可能性が高い。
次回選挙では間違ってもそういう人には投票しないのが、自然科学の背景から指摘できる1つのアドバイスではないかと思います。