2017年の東京大学、前期日程試験・英語の入試問題です。解いてみてください。
「あなたがいま試験を受けているキャンパスに関して、気づいたことを一つ選び、それについて60-80語の英語で説明しなさい」
どうですか。もし解答をお寄せいただいても、現役の東大教官ですので個別にはコメントしづらいですが、出題の方向性は時代の要請に合致したものと理解しています。
上の出題、解いたばかりのはずの1年生たちに尋ねても、出題意図について素っ頓狂な答えが大半です。
上記の出題、今日日本国内では表層的な話ばかりかまびすしいAIやIoTと関連して考えると、非常に物事の見通しが良くなります。高校生たちに、
「AIが東大入試に合格すると思うか?」
「自分とAIが競争して、どちらが勝つと思うか?」
などと問うと、まず100%「AIは合格する」「自分はAIに負ける」という悲観的な答えが返ってきます。
が、少なくとも上記の問題について、抜き打ちで出題された場合、AIはまともな答を出せない可能性が高い。
これをめぐって「論理」と「俳句」(前回の続きでもあるのです)という観点から検討してみましょう。
AIでは歯が立たない問題とは?
私は計算機と競争しようと全く思いません。計算機は道具ですから、それが得意なモノカルチャーだけやらせておけばよい。私が仕事としている音楽の作曲、学校で学び副業や余暇で使っている物理や数学は、とてもではないですが、ノイマン計算機の学習程度で脅かされるような代物ではないので、余裕で笑っていられます。
これが仮に、作曲という言葉を、どこにでもある、またどうでもいい亜流アレンジの出来損ないを捏造する程度に考えるなら、AIにも猿真似程度のことはできるでしょう。でも陳腐この上ないことはあらかじめ分かっています。やめた方がいい。
先ほどの英語の出題、ポイントの1つは、
「あなたがいま試験を受けているキャンパス」を対象としているところにあります。