先週に引き続きイスラム国に関する記事がよく読まれている。1位は東京大学の伊東乾さんによる「『イスラム国へ行った人は自己責任』に潜む大問題」だった。先週のこの欄「解放と殺害、それを分けるものは何か」でも指摘させていただいたが、貴重な情報を私たちにもたらしてくれるジャーナリストの活動は極めて重要である。
軍隊を持たない日本の課題
国家が国の運営コストを考えてジャーナリストの出国を認めないという判断も確かにそれなりの理由はある。
しかし、もっと長い目で見たとき、そして民主主義国家としての進化を考えたときには別の判断もあったように思われる。
危険地域へ赴こうとするジャーナリストの命を守るための支援ができないという理由からだとすれば、軍隊を持たず武力行使のできない国の1つの欠点が出てしまったとも言えるだろう。
さて、イスラム国の問題はアジアへも飛び火している。そのことを指摘しているのが4位、姫田小夏さんの記事「中国が直面する新たな脅威、少数民族独立派が続々とイスラム国に」である。
新疆ウイグル自治区から多数のイスラム教徒が、ミャンマーやベトナムを経由する密航ルートでイスラム国へ渡っているという。
一方、東南アジアにもイスラム国の影響が及んでいる。それを指摘しているのが13位、末永恵さんによる「日本の近くにある脅威:東南アジアに潜むISILの影」の記事だ。
東南アジアにはインドネシアとマレーシアというイスラム教徒が大半を占める国がある。その中でも最大の人口を持つインドネシアからは次々とジハード参加者が生まれているという。
こうした背景には、全体としては豊かになりながらも格差が急速に拡大していることが挙げられる。
日本でも格差が拡大しているとはいえその実感はまだ相対的に小さい。そのため身近に感じることが少ないのかもしれないが、注意しておかなければならない点である。
さて、これ以外の記事では20位に入った「人を感動させ動かすとっておきの一言」をご紹介したい。企業経営者に心理学を駆使したコンサルティングを行っている藤田耕司さんの連載で、この記事が5回目に当たる。
最新記事は6回目の「生活や仕事に行き詰まった時に最も効果的な解決策」で、この記事もよく読まれているようである。
企業も組織も人間で成り立っている以上、そこには感情が深く関わる。この連載では、心理学を知っているのと知らないのとでは経営あるいはマネジメントに大きな差が出ることを詳しく解説していく。心理学のちょっとしたヒントが明日から私たちの生活を大きく変えてくれるかもしれない。