先月、あるひき逃げ事件がネットで炎上した。

 ひき逃げ事件そのものはそれほど大きなニュースになるようなものではなかったが、被害者のある事情がネットにアップされたことでこの事件が話題を呼んだのだ。

妻のために受験を諦めた夫の死

テレビ見ながらタクシー運転はOK、ソウル行政裁

ソウルのタクシーに取り付けられたテレビ(事件とは関係ありません)〔AFPBB News

 そして、そのことがきっかけで、闇に葬られそうになる寸前だったこのひき逃げ事件が解決を見た。巷間「クリームパンひき逃げ事件」と呼ばれるものである。

 被害者のカンさん(29歳)は、地方ではあったが国立の師範大学を首席で卒業した。そして、任用試験(中・高校教師資格を取る試験)を受験するために勉強していた。

 だが、結婚を機に妻だけが受験することになり、彼はトラックの運転手で家計を支えていた。

 事件の当日は、臨月に近い妻がクリームケーキが食べたいと言ったのでコンビニエンスストアへ買いに行ったが、お金が足りずクリームパンを買い、帰宅する途中でひき逃げに遭った。

 ひき逃げされた後、すぐ処置していれば助かったかもしれないが、放置されため死亡してしまった。