2月1日、いわゆるイスラム国(以下、IS)による日本人人質虐殺を受けて安倍首相は「テロリストたちを決して許さない。その罪を償わせるために国際社会と連携する」との報復声明を発した。一方、2月4日、ヨルダンのアブドラ国王もISによるヨルダン軍パイロット捕虜虐殺を受けてISに対する「徹底的な報復」を宣言した。
消え去った安倍首相の「報復の誓い」
同じ報復の意思表示でも、安倍首相とアブドラ国王とでは全く違う流れとなった。
アブドラ国王の報復宣言は、大多数のヨルダン国民がISに対する報復実施を求める声を代表してのものであった。そのため、ヨルダン政府は直ちにIS側が釈放を要求していた死刑囚を処刑するとともに、かねてよりアメリカ主導の有志連合によるISへの空爆に参加していたヨルダン軍による強烈な報復空爆作戦「殉教者モアズ作戦」を開始した。
一方、安倍首相の報復声明に対しては、「ニューヨーク・タイムズ」などの米国メディアが「日本の首相にしては異例の報復の誓い」と取り上げ、「日本がこれまで維持してきた平和主義からの離脱」との論評を加えまでした(同紙、2月1日)。また、日本の一部メディアや政治家なども、このような海外での論調を取り上げ、安倍首相の報復声明を批判した。