イラン西部での「クルド人作戦」の限界
ここにきて米軍やIDFばかりではなく、CIAやモサドといった情報機関による工作が浮上している。すなわち、イスラエルのネタニヤフ首相がトランプ大統領に提唱するように、イラクのクルディスタンから反体制派のイランのクルド人勢力を支援し、イラン北西部のクルド地域を確保する作戦が新たに進められつつある。
2月25日には長年対立してきたイランのクルド反体制組織5派による新たな連合体が結成されており、今後数日のうちに彼らの地上部隊をイラン国内に投入する作戦がモサドとCIAが支援する形で実施されるとも、CNNによって報道されている。
トランプ大統領は3月3日、筆者の知己でもあるマスルール・バルザーニ・クルディスタン地域政府首相やバーフェル・タラバーニPUK代表らのイラクのクルド人指導者たちと直接電話会談を行い、イランのクルド反体制武装勢力の支援に前向きな姿勢を示したと伝えられている。もっとも、これらのイラク側のクルドを代表する指導者たちは、イラク・クルディスタンが巻き込まれることには慎重であったいう(Axios報道)。
IDFと米軍の合同部隊は、すでにクルディスタン州・サナンダジの法執行コマンド本部(警察組織)や軍事キャンプ、情報省ビル、刑務所などを(3月2日)、また、マリーワーンの法執行コマンド本部(3月3日)を攻撃しており、イランのクルド地域の体制側による治安体制が打撃を受けている。
ただし、イランのクルド人を活用し、イラン国内で民衆蜂起させる作戦も根本的に限界がある。クルド人反体制派勢力がイラン北西部に橋頭堡を築いても、テヘランやイスファハンのイランの体制中枢を制圧する能力はないだろう。むしろ、イランの局地的分割が拡がる恐れを高めることになるに違いない。