SNSと政治の関係を変えた2024年

──2024年から、政治や選挙においてSNSが以前より強い影響力を持ち始めたと書かれています。

山口:2024年の東京都知事選や兵庫県知事選では、ネットで大きく話題になった候補者が躍進しました。都知事選では石丸現象が起こり、有力候補だった蓮舫氏を破って石丸伸二氏が2位につけました。兵庫県知事選では、斎藤元彦氏が再選しました。また、参政党や国民民主党など、SNSを中心にネットで話題になった政党が2024年の衆院選や2025年の参院選で躍進しました。

 それ以前も、ネットやSNSで選挙が話題になることはありましたが、そのことが選挙結果に大きな影響を与えることはありませんでした。

 2020年の都知事選では、現職の小池百合子都知事と他の候補者たちが競いましたが、この時はネットやSNSで小池氏を応援する声は少なく、むしろ批判の声が多く見られました。ところが選挙結果を見ると、小池氏の得票数が2位の候補者に4倍以上の差をつけて圧勝しており、SNSやネットの動きと選挙結果にまだ大きな乖離が見られました。

 では、なぜ2024年から状況が変わったのか。いくつかの理由が考えられます。まず1つは、SNSや動画共有サービスの利用率や利用時間がコロナ禍を経て大きく増えたことです。

 その中でも重要なポイントは、中高年層も動画共有サービスをかなり使うようになったこと。それ以前、こうしたプラットフォームは主にエンタメの場として認識されていましたが、次第に選挙のようなトピックを扱うコンテンツに関しても主たる情報源になったのです。兵庫県知事選では、有権者が最も参考にした情報源がSNS・動画サイトでした。

 もう1つの変化は、そのように情報環境が変わる中で、政治家や政党がSNSや動画共有サービスを活用しようという動きが活発になったということです。

 たとえば、国民民主党の玉木代表は非常にSNSや動画共有サービスの活用が上手く、彼のYouTubeチャンネルは、まさにユーチューバーのサムネイルの作り方といった印象です。

 1つの動画が15分ほどで構成されており、1つの動画で1つの政策について語るというとても分かりやすい形式を取っています。これは人気ユーチューバーの手法で、ネットを的確に活用することを意識していることがうかがえます。

──ネットを上手く選挙に活用した例でいうと、石丸氏や参政党も思い浮かびます。