韓国は自国の防衛に対して主導的・一次的な責任を負うのに十分な経済力と軍事能力を有しているため、米国の役割は今後「限定的な支援」へと移行する。日本、韓国を含め米国の同盟・パートナー国は国防の主役として自らの安全保障の「運転席」に座る時が来たことを意味する。

慶應義塾大学・北川敬三教授の分析

 慶應義塾大学総合政策学部の北川敬三教授(元一等海佐)の分析は以下の通り。

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 まず全体像です。第2次トランプ政権のNDSは、同戦略の上位文書である国家安全保障戦略(NSS)が昨年末に示した優先順位を前提に、「軍はどこで、どう抑止を成り立たせるのか」を整理した文書です。外交や経済安全保障を重視した結果として軍事を弱めたのではなく、むしろ外交と経済を機能させる土台として、軍事の配置を組み替えた点に特徴があります。

 その結果、最優先は中国ではなく米本土と西半球(国境、パナマ運河、グリーンランド等)となり、インド太平洋では同盟国に役割分担(負担共有)をより強く求める構図が鮮明になりました。

 前回(前政権期)のNDSが、対外関与と同盟の結束を比較的強く打ち出していたのに対し、今回は「自分の国は自分で守る」ことを同盟国にも明確に求めた点が最大の違いです。

 そして今回のNDSを貫く前提は、同盟国に対してもまず自助、すなわち自分の国は自分で守る、その上で同盟を機能させることです。つまり独立国家として、当たり前の原則を徹底させることです。

 米国は同盟を否定しているのではなく、同盟を「依存の仕組み」から「自立した国家同士の協力関係」へ作り替えようとしている、と見るべきでしょう。

 だからこそ、欧州では欧州が、朝鮮半島では韓国が、インド太平洋では日本を含む同盟国・同志国が、地域の抑止をより主体的に担うことを求める構図になっています。