[特徴3] バザール商人の象徴的復帰
1979年当時、バザール商人は13カ月に及ぶストライキを行い、「融資委員会」を通じて労働者や被拘禁者の家族を財政的に支援した。今回の店舗閉鎖も、体制の経済的正統性が失われたことを示す強力な宣言となっている。ただし、現在のバザールはIRGCとの不公正な競争により弱体化しており、当時ほどの組織力や資金力を保持していない可能性も指摘されている。
[特徴4] 多世代・多階級による「連合」の再現
今回は、学生、労働者、教師、看護師、そしてバザール商人が同時に参加している。この階級横断的な参加は、1979年革命を成功させた「労働者、商人、知識人、学生」の連合の再現ともいえよう。
[特徴5] 革命防衛隊の動向と「中立」の可能性
IRGCが大規模弾圧を控えている現状は、1979年に軍が最終的に「中立」を宣言して革命が完遂された歴史を想起させる。IRGCの一部が体制の持続可能性に疑問を抱いているのか、あるいは国際的非難を避けるための戦略なのか、その真意が抗議活動の帰趨(きすう)を決することになろう。
変革を阻む壁──1979年との構造的相違
条件は整いつつあるが、依然として4つの大きな相違点が存在する。
(1)統一指導部の不在
1979年にはホメイニ師という圧倒的カリスマが、亡命先から明確なビジョン(イスラム共和国)を提供し、すべての反体制派を統合した。現在はレザー・パフラヴィーが一定の人気を得ているものの、反体制派は分裂しており、ホメイニ師のように求心力のある指導者は不在である。
(2)財政的基盤の脆弱性
現在は、かつてのバザール商人が支えた、ストライキ参加者の生活を支える組織的な資金チャネルが確立されていない。現在のイランの商人たちは自らの生活を守るだけで精一杯の状況にある。この点で、市民による抗議活動がどの程度持続できるかには疑問符もつく。
(3)実力組織の性質
現在のIRGCは、国家体制、とりわけ国家経済の中枢を握る巨大な既得権益体であり、体制崩壊によりすべてを失うリスクがあるため、離反へのインセンティブがかつての国軍より低い。