イラン抗議活動の最新情勢──全土へと広がる拒絶の意志

 今回の抗議活動を理解するための鍵は、それが単なる政治的抗議ではなく、国民の生存をかけた「最後の闘争」であるという点にある。

【第1日(12月28日)】経済危機による発火

 抗議活動の背景には、イラン・リヤルの史上最低水準への暴落があった。今回のイランの抗議活動が始まった2025年12月28日には、市場での対ドルレートが1ドル=142万リヤルにまで低下した。イランでは、1年前と比してインフレ率は42.2%に達し、食品の高騰は72%、医薬品は50%以上の値上がりを記録している。

 イランの抗議活動は、テヘラン中心部の商業地区において、通貨暴落と急激なインフレにより「もはや商売が成り立たない」として商人たちが一斉に店を閉めたことを直接の発火点として始まり、その後、グランドバザールを含む全国へと拡大したのだ。この初動は、1979年革命の基礎となったバザール商人(イラン社会を象徴)と聖職者(イランの宗教を象徴)の歴史的同盟が完全に崩壊し、イラン社会そのものが、聖職者とイラン革命防衛隊(IRGC)を核心とする国家体制への抵抗勢力へと転じたことを意味する。

 同日、パフラヴィー王朝の最後の皇太子レザー・パフラヴィーは、即座にペルシア語で動画メッセージを発信し、「この体制が存続する限り、経済状況は悪化し続ける」と述べて抗議活動への支持を表明した。この投稿は24時間以内に数百万回再生され、ソーシャルメディア上では「パフラヴィーは帰還する」という言葉がトレンド入りした。

【第2~3日(12月29~30日)】全国への急速な拡大

 抗議活動は瞬く間に全国規模へと拡大した。イスファハーン、マシュハド、コム、タブリーズ、シーラーズ、アフヴァーズといった主要都市に加え、ハマダーン、アラク、ナハーヴァンドなどの地方都市でも大規模なデモが発生した。この時点で活動は23州以上に及び、参加者数は累計数十万人に達したとされる。

 特筆すべきは、参加者の圧倒的な多様性である。学生、労働者、商人に加え、教師や看護師といった公共部門の労働者までもが合流した。

 この段階で君主制を支持するスローガンが顕著に現れ始め、デモ参加者が「ジャーヴィード・シャー(王よ永遠なれ)」、あるいは「これが最後の戦いだ、パフラヴィーは帰還する」と叫ぶ姿が各地で記録されている。かつて政治的タブーとされたこれらのスローガンの公然とした復活は、国民の体制への恐怖が明らかに薄れたことを物語っている。