モビリティハブの課題は事業性の有無
筆者はこれまで、全国各地でモビリティハブに属する新しい形の交通結節点の現場を巡り、現地の市町村関係者や交通事業者と意見交換をしてきた。
特に2010年代半ば以降は、世界的に次世代交通MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)への注目が集まる中、シェアリングモビリティと既存交通との連携を盛り込む施策が増加している。
こうした動きを踏まえた上で、筆者はモビリティハブの課題は、事業としての持続性にあると考えている。
これまでのケースを見ると、国や都道府県によるMaaS関連補助金を使う施策が多く、そのため事業実施に関する報告書を作成した時点で、その事業が事実上、終わってしまうということが珍しくなかった。
または、モビリティハブやオンデマンド交通の運営費を地域の交通事業者の事業上の“努力”に頼り、市町村が赤字分を補填することもある。
そうした事例の場合、町の担当者は「解決に向けた道筋が見えない状況をこれからも続けていくことに不安がある」と考えてしまう。国を含めた大きな視点での抜本的な見直しの必要性を強調する声もある。
そのほか、モビリティハブや交通結節点という考え方そのものが、その地域の特性に本当に合っているのかという根本的な課題もある。つまり、「乗り換え」の必要性だ。