“動ける皇族”に公務が集中する「現場の負荷」

 2025年の佳子さまは、宮内庁サイトの「ご日程」を追うだけでも、行事臨席に加えて「ご会釈」「ご説明」など細かな日程が連日並ぶ。

 例えば4月~6月には、皇霊殿での儀式への参列、説明受け、懇談などが切れ目なく記載されている。7月~9月にも、家族でのご会釈、各種ご接見、行事出席が続く。

 10月以降も、園遊会や宮中茶会のご陪席に加え、展覧会のご覧、スポーツ大会関連の式典など、性格の異なる予定が並列して続く。

2025年10月12日、テニスの全日本選手権男子シングルスの表彰式で、優勝した田口涼太郎選手(左)と記念写真に納まる佳子さま(写真:共同通信社)

 筆者が宮内庁掲載分を集計(ご説明・ご会釈・移動等も含む)すると、年間で150件以上に達する。ここに宮中祭祀など皇室の行事も重なる以上、「出会いの時間」を意図的に確保すること自体が難しくなる。

 秋篠宮さまも記者会見で、佳子さまには「いろいろな依頼をされることも多くなってきて」おり、「その一つ一つを非常に大事にしながら、一生懸命取り組んでいる」と語られている。

2025年11月25日、60歳の誕生日を前に記者会見された秋篠宮さま(写真:代表撮影/共同通信社)

 背景にあるのは、皇族数の減少と高齢化だ。秋篠宮さま自身、担い手が減っている現状を認め、「全体的に公的な活動の規模を縮小するしか、今はないのではないか」とまで述べられた。

 ただ、縮小が簡単でないからこそ、現場の負荷は“動ける皇族”に集まりやすい。結果として佳子さまの多忙さは、結婚以前に、生活のリズムや将来設計そのものを圧迫している。

 加えて、皇室の公務は「減らす」と言っても単純ではない。長年、皇族が関わってきた分野ほど、主催団体側にとっては“来ていただくこと”が活動の支えになっている。どの案件を手放し、どれを残すのかは、政治判断というより、これまで培ってきた信頼と関係性を失う結果を招くことになるのではないだろうか。