“生身の人間”が晒される時代──SNSと皇族の距離

 第三の問題は、SNSを通じた誹謗中傷や根拠のない情報の流布、そしてプライバシー侵害だ。

 宮内庁は公式インスタグラムで活動紹介を進めているが、秋篠宮さまは会見で、投稿は「月に一度程度」で即時性は高くない一方、実際に出席した行事の写真を「それ以上でもなく、それ以下でもなく」知ってもらうのが目的だと語られた。

 さらにウェブサイトとSNSの関係を「惑星と衛星」に例え、インスタグラム投稿から公式サイトのアーカイブへ飛べない現状に言及するなど、発信を“点”で終わらせず“記録”として残す重要性も示されている。

 しかしSNSは、公式発信だけで完結しない。秋篠宮さまは、SNSは情報を瞬時に広め、双方向で迅速にコミュニケーションできる利点がある一方、「誹謗中傷などによる悲しい出来事も起きている」と述べられた。

 象徴的なのが、佳子さまがブラジル公式訪問中に「機内で休んでいる写真がSNSで広がった」事例だ。そこには「公的な立場」の佳子さまの、公務ではない「個人(生身の人間)」の時間が写っていた。SNSは、誰でも撮影したものを拡散できる時代に変えたが、個人の許諾なしにプライベートが広がっていく流れを止めるのは、非常に難しいことだと語られた。

 さらにAIが加われば、フェイク画像や二次創作画像が拡散する可能性もあり、マスメディア時代とは環境が大きく異なる、とも指摘されている。

2025年6月17日、ブラジル公式訪問を終え、帰国された佳子さま(写真:代表撮影/共同通信社)

 この“炎上しやすい環境”は、結婚という人生の大きな節目に対しても、本人と周囲に強い萎縮を生んでいることだろう。

 ご発言の切り取り、憶測の連鎖、相手方のプライバシー侵害。皇族側は反論や訂正が難しい立場にあり、慎重さが積み上がるほど、結果として「何も進んでいないように見える」状態が長期化しやすい。

 関連質問で秋篠宮さまは、結婚のような大切な事柄について「情報管理というのはしっかりと行っていかないといけない」「そのためにどうするかというのを考えるのは、私たち親の役目」と述べられている。

 その意味で2026年は、制度と公務の両面で「整理」が進むかどうかの試金石となる。