内閣支持率に少しでも下落傾向が見えると…

 政策面だけではない。公明党の連立離脱によって、選挙の基盤も大きく損なわれた。そのことはやがて、自民党内にじわじわと不安を広げるだろう。今後少しでも支持率に下降傾向が見えれば、党首を「選挙の顔」としてしか見ていない自民党内に動揺が生まれ、党の結束も危うくなりかねない。

 高市首相やその周囲は、ネット保守層に受けそうな排外的な発言や、安全保障政策で従来の政府見解を踏み越えるような「勇ましい」発言を繰り返し、一部の熱狂的支持者のウケを狙っている。それに対する反高市支持層の不安や怒りが強まり、逆に高市政権を「何をしでかすか分からない、日本を壊すモンスター」のように仕立てている感もある。

 だが実際のところ、高市政権にはそれらを実現できる体力はない。自民党の基礎体力が落ちすぎているのだ。高市首相らはそれをごまかし、口先で「やってる感」を演出することで、岩盤支持層の繋ぎ止めに必死になっているが、高市政権がそれをやればやるほど、今度は昔からの穏健な党支持層の不興を買う。長い目で見れば党勢は衰退する。

 そもそも、党勢を従来の支持層の外に拡大するのではなく「岩盤支持層」を「つなぎ止める」ことに汲々としてしまう点で、党勢が縮小傾向にあることは明らかではないのか。

「じゃあなんで内閣支持率は高いのか」という声も聞こえてきそうだが、それが「世論の空気を正確に反映している」と仮定したとしても、支持率と自民党のリアルな現状との間には、かなりの乖離があると考えざるを得ない。自民党に限ったことではないが、支持率が高くても選挙でその通りの結果が出なかった政権は、今までにもあった。

 このように考えると、2026年の政界の行方を占うカギは、実は公明党なのではないかと思う。