維新・国民のポピュリズム的政策を「丸のみ」

 こうした表面的な事象だけを見れば、高市政権は高支持率を背景にした「1強」政権にも見える。しかし、内実はどうだろう。

 自民党が単独では衆参とも過半数を割っている「結党以来最弱」の状態にあることは変わらない。その不足を埋めるため、高市政権は慌てて連立相手をかき集めたが、新たな連立相手の維新はかつての公明党とは違い、常に離脱の可能性をちらつかせている。

 維新の「後釜」を狙うかのような国民民主党は、連立入りに強く反対する支持組織を振り切れず、党全体を確実に味方につける目算が立たない。

共同通信加盟社編集局長会議で講演する国民民主党の玉木代表=12月23日午後、東京・東新橋(写真:共同通信社)

 高市政権は目先の政権維持のために、彼ら中小政党が「政権を担わない無責任さ」を背景に気持ち良くがなり立てるポピュリズム的政策を、次々と「丸のみ」している。それどころか政権自体も、2026年度当初予算案が過去最大の規模となるなど、財政規律を無視したポピュリズム的政策に大きく傾いている。

 それは、長く政権を担い続けてきた自民党の「責任政党」としての屋台骨を急速に破壊しつつあり、自民党内からも懸念の声が出始めている。

 高市政権のポピュリズム的経済対策が功を奏さず、これ以上の円安や長期金利の上昇という、国を危うくする事態が進行すれば、これまで資金面で党を支えてきた経済界などにも「もう付き合いきれない」という政権への忌避感が生まれる可能性もある。