学資保険を捨ててこどもNISAに乗り換えよう

 さて、こどもNISAを利用し、インデックス投資信託で運用する場合、年間の期待リターンは7%程度が通常の想定です。

 一方、各保険会社が販売している学資保険は、20年運用してリターンが5~20%くらいの商品が主流です(2025年末現在)。インデックス投資信託が3年程度で稼ぐ(ことが期待されている金額)を20年かけてやっと稼ぎ出すのが学資保険だといえます。

 何度か述べていますが、学資保険はリターンがあまりにも低すぎて学費の備えとしては効率のよい備え方とはいいがたいものです。いくら安全だといっても、18年程度の長期でインデックス投信での運用をすれば元本割れの確率はかなり低く抑えることができるため、ここまでのリターンの差を無視してごくわずかな安全性を取ることはとうてい合理的とはいえません。

 よほど資産に余裕があり、学資保険程度の金額であれば非効率な運用をしても特に困らないような家庭ならともかく、もしそれほど楽ではない家計をやりくりして学資保険の掛け金を捻出し、それで学費に対する備えをしているような家庭なら、すぐさま学資保険を解約してNISAなりこどもNISAに乗り換えるのが賢い選択です。

 さらにいえば、こどもの学費を確保したいという親心や将来の不安につけ込んで、金融リテラシーが必ずしも高くない家庭に非効率な資産運用を提案する保険会社の姿勢が問われる話でもあります。

「顧客本位の業務運営」や「貯蓄から投資へ」を唱える金融庁がこれを放置していることもおなじく問題でしょう。金融庁に保険業に関するさまざまな許認可権限が与えられているのは契約者保護のためであって業界を守るためではありません。「業界の悪ノリ」について、どこかで歯止めをかける必要があるでしょう。

 たとえば、「貯蓄から投資へ」の観点から、定期預金や学資保険をはじめとした貯蓄性保険からこどもNISAへの乗り換えをする場合、こどもNISAの年間60万円のつみたて上限のキャップを外すことなども有効なのではないでしょうか?こどもNISA自体は優れた仕組みといってよいものなので、その政策効果が最大限発揮できるよう、妥協することなく制度設計してもらいたいと思います。

 2025年の後半のマーケットは比較的好調で、インデックス投資信託に丸投げしているだけでも大きく儲かった人も多かったのではないかと思います。AI産業がバブルなのかどうなのか、各国それぞれの政治的リスクがどうなるのかなど、さまざまな不安は尽きません。それでも、2026年もインデックス投資信託が健やかに成長してくれることを祈ろうと思います。